粥村で聞いた話

鳥を見たり見なかったり食べちゃったり

ねじまき雲(陽)

年度末の忙しいある日の午後、ふと体調が少々下り坂にあることに気づく。どこが、と言うわけでも無いし、いつもの『仕事したくない病』なのは分かっているが、なんとなくだるい。

ふとFitbitの心拍数グラフを見てみたら、昨夜からの睡眠中の脈拍グラフがいつもより10以上高いところをキープしていた。数値としてはっきりした変動があると、体調が悪いんだからしかたねーだろー、と開き直りたくなる。

帰ろう。2時間休暇だ。でもまっすぐ帰っても……ねぇ。

 

気がつくと国分寺にいた(ウソですけど)。学生時代に何年かを過ごした、東元町という所だ。懐かしい。

実はそこに、行ってみたかった喫茶店がある。ここで美味いコーヒーでもいただけば、きっと明日には体調が良くなるはず。

有給休暇は病気になった時のためにあるのではなくて、定期的にリフレッシュして病気を未然に防ぐためのものだ。つまり病気になる前に身体を休めるのは、ちゃんと仕事をするため。サボりどころか、むしろ会社のためなのだ。おお、サラリーマンの鑑じゃないか!

 

というわけで、真面目なサラリーマンなら入れない時間帯に、ねじまき雲(陽)に入ってみた。

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ねじまき雲(陽)の店内

やった。まだお客さんがいない。

というわけで店主とお話をさせてもらい、オーダーのヒントをもらう。ワタクシとしては先日からの続きで自分に合うコーヒーのことを知りたいと思っていたので、ストレートコーヒーの酸味が強めの系統を試すつもりだった。しかし普段の家での飲み方などを参考に、玄人がアドバイスをくださる。これはもう、傾聴するしかない。

ご意見に従い、まずはカフェ・オ・レにしてみる。

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店内その2

 その後、このドアを開けてお客さんがやって来る。みな、お一人様だ。そしてこんな薄汚いヲッサンではなく、この店に相応しく知的で物静かな30代と思しき男女だった。

うむむむ、アウェイ感は確かにあるぞ ^^;

そしてやってきたカフェ・オ・レ。

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カフェ・オ・レと伊坂幸太郎

まぁ薄汚いヲッサンである事実はいかんともしがたい。そこはどうでもいいか。

カフェ・オ・レとしてはかなり苦みが利いている。ラテじゃないんですよね? エスプレッソ入ってないんですよね?

家ではスタバの深煎りの豆にたっぷりの牛乳で飲んでいるわけだが、路線としては非常に近いものを感じた。そして美味しいので、家でやっている飲み方もそんなに悪くないんだな、と妙に嬉しくなる。ちょっとした緊張感すら漂うアウェイ感の中で飲む、ホーム感のあるカフェ・オ・レ(900円)。なんとも不思議で濃密なものを感じる。

ちなみにお供の文庫本は昨日のエントリの「モダンタイムス」だ。早引きして美味いコーヒーを飲みながら伊坂幸太郎。これぞ至福のひととき。ちょっと暴力的な小説ではあるが ^^;

せっかく仕事をサボって喫茶店に寄ったんだから、一杯で帰るわけにはいかない ^^;

いやそうじゃなくて、明日もちゃんと働くために、だよ。

そこで酸味が利いた一杯を追加。

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サイフォンブレンド 「爽炎(そうえん)」

「とても熱いのでお気を付けください」

という気遣いの言葉とともにサーヴされた爽炎。

ワタクシ、今までブレンドっていうものに偏見を持っていたことに気づいた。美味しいのはストレートで、ブレンドっていうのは安い豆を合わせてランチやモーニングのセット用に作るコーヒーだろうと、ただ漫然と思っていたのだ。なんて恥ずかしい。

ねじまき雲の店主であるお兄さんは、実はロースターでもある!

バリスタとロースターは全く別の仕事で、分業制だと勝手に決めつけていた。しかし、考えてみれば両方やる人だっているわけだ。バリスタでありロースターであれば、ブレンダーでもあるよね、そりゃ。(これも思い込みです)

酸味を生かすために豆を選び、浅煎りでブレンドし、サイフォンで淹れる。もちろん、紙ドリップやネルドリップやサイフォンなど種々の淹れ方から、各々のコーヒーに最適な方法を選んでいるはず。酸味の最適解がこの爽炎なのだろう。

結論としてこのブレンド、ワタクシの好みにドンピシャだった。これが700円は安いと思う。

 

次回はかみさんも連れて行こうかな。甘い物もいただきたいし。

でも突然サボって一人で行くのも、やっぱり良いな。

 

あ、翌日はちゃんと仕事したかって?

翌日は休日だったんですよ。はっはっは。