転居から13ヶ月。相変わらず調布市民になっていく過程を楽しんでいます。
先日、調布市立図書館が主催する「マンガ家・つげ義春と調布」展の一環として、映画『無能の人』のDVD上映会があるというので、予約して行ってみた。ちなみにつげ義春の作品は、見たことも聞いたことも無かった。しかし調布に越してきたからには、水木しげると並んでつげ義春にも触れてみなければならん。勝手にそう思い込んだ。
初めてこの映画に触れた印象は、ざっくりと言えば人間失格などに似た、破滅型人間の話、という感じ。最後には家族で手に手を取って歩いて行くから単独での破滅では無いが、家族で破滅に向かっているように見えた。もう少し原作を読むなどして少しでも理解を含めたいところではあるが。
ワタクシの目にそう見えたのは、主演・監督の竹中直人の演技と表現に拠るところが大きいと思う。
映画への理解が全然なレベルなので、アフタートークの話に。
無料の上映会だというのに、竹中直人のきっかり1時間に及ぶアフタートーク付きだった。なんてお得!
映画のエンドロールを見て、友情出演の豪華さに驚いた。ワタクシはほとんど誰にも気づいていなかったので、それだけでもDVDを入手する必要性を感じた。例えば井上陽水。かみさんは上映中に気づいたと言うが、ワタクシは全くw
泉谷しげるや蛭子能収なんかの名前もあったが、まったくまったく。どこを見ているんでしょうね、ワタクシ。
アフタートークで竹中さんが、以下のような内容のことを言った。
「河原のシーンで『バカヤロウ』という罵声が欲しかった。姿は見えなくていいんだけど、声だけは欲しかった。そこで『バカヤロウ』が一番上手く言える人は誰だろうと考えた結果、泉谷さんにお願いした」
なるほど!
姿が見えなかったのも、『バカヤロウ』が一番上手いというのも、全て納得。
とにかく竹中さんの、これまでに関わった映画人に対する深い思いれや、つげさんに対する思い、調布の思い出、脱線気味の様々な話、どこをとっても面白い一時間だった。この中で竹中さんが、
「つげさんの作品をもう一つ、映画化してみたい。もちろんそうなったら撮影は調布市で」
と言っていたところに期待したい。もちろんリップサービスの面はあるだろうけど ^^;
順番が逆になったが、そのあと『「マンガ家・つげ義春と調布」展』も見に行った。最終日の1日前の土曜日とあって、入場制限で列が出来る盛況ぶり。その列の中の人となり、これまで全くつげさんを知ろうともしてこなかった自分がちょっと恥ずかしい ^^;
中身が濃く、かみさんは全集を欲しそうな目つきに変わってしまった。さすがに量が多いですよ? ^^;
更に後日、つげさんが水木さんの手伝いをしていた時代に2階に住んでいたという、中華八幡に向かったのだが運悪く営業していなかった。そこですぐそばに在る増田屋という蕎麦屋に変更。こちらも水木さんが良く出前を取っていたと聞くので、おそらくつげさんも食べたことはあるんじゃないかな?
まさしく昭和の街の蕎麦屋さん、という風情。外観も、メニューも。
かみさんは力うどん、ワタクシはいつもの通り天ざるをいただいた。
蕎麦はトゥルンとした感じ。天ぷらは油にイヤな感じが全く無い、サクッとした揚がり具合。950円とリーズナブル。
またひとつ、調布市民に近づいた、かな?