粥村で聞いた話

鳥を見たり見なかったり食べちゃったり

ちょっと深谷まで

例によって映画とコーヒーがセットになってしまうので、目次を作っておく。

 映画

まずは映画の話。

非常事態宣言下だが、出かける

 前々から行ってみたかった深谷シネマに出かけることにした。緊急事態宣言下ではあるが、ちょうどかみさんが興味を持ちそうな映画が始まってしまったので、この期を逃す手はない。

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上映予定にも緊急事態宣言の影響が

ご覧の通り、営業時間は縮小されている。急な変更には赤ペン修正で対応。

そもそも深谷シネマの上映期間は基本的に日~土の1週間なので、躊躇していてはチャンスを逃すことになるのだ、という言い訳。

 

深谷シネマ

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深谷シネマ外観

ご覧の通り、知らずに辿り着いたら、いったい何の建物だろうかと首を傾げるであろう外観だ。この深谷シネマというのは、あのネギで有名な埼玉県深谷市にある、酒蔵を改装したミニシアターだ。できる限りシネコン以外で映画を観たい、というくだらない拘りを持ち始めて以来、ずっと気になっていた映画館。

すぐ隣にある駐車場は無料。ワタクシの家からは一般道で2時間弱のドライブ。何かあったら遅れてしまうかもしれないし、席の予約も出来ない完全自由席なので、1時間の余裕を持って出かけた。

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深谷シネマ内部

一番乗りだったので、誰も居ない客席をパシャリ。もちろん、スクリーンはひとつのみ。座席の傾斜は浅めだが、背もたれの高さも十分で、前後の他人にそう気兼ねすることもない。

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館内、前から

酒蔵を改装した映画館ということで、もう少し手狭な感じを予想していたが、そんなことはない。ちなみにトイレもとても清潔。

館内、食べ物は禁止だが、飲み物はオーケー。館内に少々高級なカップコーヒーの自販機があるので、ドトールのカフェオレを片手に席に着いた。飲んだら残念ながら砂糖入りだったが ^^;

スペシャルズ

今回この深谷シネマで観た映画は、『スペシャルズ!』という作品。大まかな内容は、「政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」という少々長めのサブタイトルで十分な気がする。

事前の超軽い下調べではコメディタッチに描かれている……という風に読み取ってしまったのだが、実際はそうでもない。むしろかなりドキュメンタリィタッチにケアの実態を描いている。そう感じる理由は実際に自閉症性障害児にも演じてもらっているだけではなく、俳優陣にもケアの現場に入って体験してもらったという真剣な映画作りのためだろう。特にジョセフとヴァランタン(いずれも役名)の演技は秀逸。ジョセフはよくここまで演技できたな、と自閉症児の能力に驚かされるし、ヴァランタンは本当に自閉症なのかと思わされて、高速道路の中をさまよい歩くシーンでは本当にドキドキしてしまった ^^;

ちなみにヴァランタンを演じた彼は弟が重度の自閉症で、この映画を通してより「弟を愛せるようになるかもしれない」と語ったという。その真剣さが産んだ名演技なのだろう。

主演の二人、ヴァンサン・カッセルレダ・カテブはどちらも素晴らしい演技。というより、素晴らしい姿勢でこの社会問題に対峙した、と言いたい。

支援学級で働くかみさんとしては、自閉症の子供たちの行動に国境がないことが印象的だったという。また障害者ケア施設とドロップアウトした若者たちの就業支援が手を組むというスタイルに感心していた。日本にはそういう試みがないのだろうか。確かに効果的に見えた。

茶店   50 COFFEE & ROASTERY

前述の通り、自販機のコーヒーを手に映画館に入ったのだが、これはこの時間帯だったからしかたがない選択で、映画がもう少し遅く始まるのであれば、もっといい選択肢があった。

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レトロな街並

実はレトロなのは深谷シネマだけではなく、その周りにもう少しこんな街並が続いている。早朝に着いたのでまだひとけがなく、なにやら開園前のテーマパークに忍び込んだような気分になった。

その一角に喫茶店があるのだが、最初はそれと気づかなかった ^^;

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この外観で喫茶店

これが『50 COFFEE & ROASTERY』の外観。開店前の時間帯に通り過ぎてしまった自分に手落ちはなかったと思う ^^;

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ストーブが嬉しい

農機具が似合いそうな場所に見えた。ワタクシのじいさんの家みたいに……。

ロースター   LORING S70 Peregrine

そしてまさにそれっぽい機械が。でも、アレ?  これは農業系じゃなくてロースター?

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なんと立派なロースター

いや、考えてみれば脱穀機とかとロースターって、同じ分野かもしれない。(そうでもない?)

帰ってから検索してみると、Loringというメーカの『S70 Peregrine』という名の超高性能高価格ロースターらしい。かなりの話し好きと思しきマスターから聞いた話だと、1400万円くらいするそうだ。色々話を聞かせていただいたが、高性能って言うのは詰まるところ、職人の技術をできる限り数値化して再現性を高める、という方向性と見た。

コーヒーは映画にも便利な蓋付きの紙コップで供される。もし次回、喫茶店開店後の映画を観ることになったら、迷わずここで買おう。

ところでロースターの名にPeregrineってあるけど、これってハヤブサの学名 Falco Peregrinusのペレグリンだよね。放浪者とかの意味の。どうしてこの名がロースターに付いたのかは個人的に気になる。指輪物語ペレグリン・トゥックでもあるし……。

 

閑話休題

今回いただいたのはマスターに勧められたシナモンコーヒーというちょっと変わったコーヒー。カプチーノとかではなく、コーヒーにシナモン。ミルクなし。もちろん、悪くなかった。

オレオチーズケーキ

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オレオチーズケーキ

かみさんがオーダーしたこのケーキをひと口分けてもらった。最初見たときには漬け込んで色が変わってしまった年代物の柑橘類が乗っているのかと思ってしまったが(^^;)、これは美味しい! ホールで買って帰りたかったくらいだが、この店舗には無いみたいだった ^^;

 

今回も、映画館にも映画にも喫茶店にも恵まれた。

また、深谷シネマでは気さくな係員のおじさんとの会話で、地元青梅に関する有用な情報まで得られた。なんでも青梅でも映画館立ち上げが着々と進んでいるとか。

でも、ちょこっと出かけるからまた楽しいんだよね。今回の片道2時間弱のドライブ、期待外れは何一つ無い、良い時間だった(小並