今年3本目の映画です。去年の半分くらいのペースに落ちていますが、むしろ例年のペースに戻った感じです。
ワタクシが映画を観る場合、元々アンテナを張っているわけではないので、こちらから探しに行きます。大体はアップリンク吉祥寺の公式サイトに行って、上映中の映画を片っ端からクリックしてみます。そこで内容にピクンと来るものがあるか、無ければ別のミニシアターを調べたりします。
今回、ピクンときた映画がこちらでした。
岡﨑育之介監督、中尾有伽・研ナオコのダブル主演です。監督はその血筋が注目されてしまうでしょうが、そこがキモではないのでここでは割愛します。
パンプレットを読んで初めて分かったのですが、監督の熱量がすごいです。若さで押し切っているところもあるのでしょうが、今後、すごい作品を次々生んでいくだろうと想像できる熱量です。
このくらい前置きがあれば、そろそろネタバレしてもいいスクロール量ですかね。
大まかな映画の筋は、ソープ嬢の加那がふとしたきっかけで、認知症のおばあちゃんの介護をさせられることになったものの、おばあちゃんである紀江さんには忘れられており、頑張ってもなんだか報われない、というのはおおかた予想どおりの展開。
加那は十分な稼ぎがあるのか、独り暮らしの家事を家政婦に任せており、その家政婦である名取さんとのやりとりがまた、この物語にいい色を付けている。
加那は自分の母親や実家の周囲の人たちに自分の仕事がソープ嬢であることを明かしていない。これもまた、そういうことも有るだろうというか、普通はそうなっちゃうだろうな、と納得させられる。そんな中でなかなか厳しい態度で加那に接してくる名取さんの存在はおそらく非常に重要で、加那も名取さんにだけは包み隠さずに全てを話している感じ。きっと彼女自身は気づいていないけど、ソープ嬢の友人たちとは別の意味で、彼女を支えているのだと思う。
また研ナオコ演じる紀江さんも時々ズバッと加那のこころを貫く言葉を発する。
「職業に貴賎は無い!」
とか。認知症は最近のことを忘れてしまうけど、むかし身に付けたことは消えない。つまりとても正しいことを主張することもあるのだ。そんなことすら忘れがちだ。
そしてこの映画の中で最も重くて、そのうえ真実を述べているのが、加那の「おばあちゃんが私のことを覚えていないんだよ」という言葉に対して名取が言った「違うよ。おばあちゃんがあなたを忘れたんじゃなくて、あなたがおばあちゃんを忘れたんだよ」という台詞だ。
そしてこれが刺さったということは、ワタクシにもちょっと思い当たるところがあるわけだ。
ところで劇中、紀江さんはニューヨークでアルトサックスを吹いていた過去があることが明らかになるが、そこを全く深掘りしなかったところに、なにか岡﨑監督の映画へのスタンスが垣間見られる気がした。枝葉を茂らせすぎると、幹が見えなくなってしまう。
個人的には、加那が実家に通う坂道を見た瞬間、軍畑(いくさばた;青梅の山のほう)の駅に上っていく道に似てるな、と思ったら、おそらく正解でした。まだまだ青梅のあたりのほうが土地勘があるようです ^^;
ビジュアル的には、何度かあるこの坂を登る加那の姿と、カラーボールがふたりに向かって降ってくるシーンが、この映画のハイライトだと思います。
という感じでこの記事を締める方向なんですが、アフタートークがあったんですよ。もちろんその点でピクンと来たのもあるんですが。
そして岡﨑監督曰く、日本初のVTuberとのアフタートーク、らしいです。

で、このVTuberがなんだかダミ声なんですな。
そして結局中の人登場。

岡﨑監督に負けず劣らずパワフルなおことさん……。色々すごい経歴も聞きましたが、まぁ……そんなに……興味が ^^;
アフタートークの更に後には、いつものサイン会です。監督だけと思ってたのに、名取さんを演じた髙木直子さんが居るじゃないですか! なんてラッキー。
映画を観る前にパンフレットを買っておいたので、一番にサインをしてもらい、次の人も来ないので長々とおしゃべりさせていただきました。

僭越ながら、自分もそろそろ人ごとでは無い状況があることをお話しした結果、髙木さんにずいぶん真剣なお話をしていただけました。

「(認知症が始まって)そこからが面白いのよ。だんだん若くなってきて、昔のことを思い出してくるの。そのうちお父さんとのなれそめとか話し出すかもしれないわよ。」
なんて感じで、まるで友達みたいに話してくださった髙木さん、すっかりファンになりました ^^;






















