JR東日本が開催しているイベントに、駅からハイキングというものがある。今回、ちょっとした思いつきで、参加してみた。
本来ワタクシたち夫婦は基本的に団体行動が苦手で、こういうものに参加するのにはちょっとした抵抗感がある。たとえ大切な場所を見落とすことになるとしても、独自路線の旅行が好きなのだ。
でもまぁ、(ワタクシ的には長い方である)4泊5日の旅行だし、1日くらい人任せのオプショナルツアー的なものに参加してもいいかな、と思ったのと、現地の人の説明にはやっぱり得るものがあるだろう、とも思ったためだ。このあたりは、石見銀山での経験なんかも一役買っている。
で、今回参加してみたのがタイトルの、『もっと知りたい!ディープな弘前公園』だ。駅からハイキングでも珍しい、事前予約が必要なタイプ。募集定員は15名とある。でも緊急事態宣言も出てしまっていることだし、そんなに来ないんじゃないかな。あんまり多いと説明も聞こえないだろうし、少ないといいんだが……。
などと考えながら、集合場所である弘前市立観光館に到着。
なんだかたくさん人がいる感じだ……。ちょっとビビりながらもお約束である顔出し看板での撮影を強要するかみさん。そうか、弘前のマスコットキャラクターはたか丸くんと言うのか。
出発時刻の少し前になり、係員のおねーさんが寄ってくる。
「予定の人がまだ現れないので、もう少し待ちます。申し訳ありませんが2階にも展示がありますのでご覧になってお待ちください」
と。
藩祖出陣、と書かれているので津軽為信なんでしょうなぁ。検索してみると、まさしく為信の兜と同じだ。この程度の認識だからこそ、参加する意義があるというものです ^^;
10分ほど待っただろうか、どうやら待ち人来たらずで、スタートするようだ。
そして衝撃の事実を知らされる。なんと、参加者はワタクシたち夫婦のみ!
集合時間に見かけた人たちはどうやらただの通りすがりの観光客と、そして案内してくださるJR弘前駅の職員の方々だったようだ。
ワタクシたち2名の参加者に対して、案内担当者が5名!
なんたる歓待 ^^;
なんか申し訳ない気分とともに、駅からハイキングがスタート。
いや、全然スタート地点ではないんですが、写真はテキトーに。
5人も着いてきてくださった職員さんは職場もそれぞれらしい。個人情報なので詳しくは書かないけど、出身地が津軽の方も居れば関東の方もいらっしゃるし、中にはかなりのレベルにいらっしゃるスポーツ選手も。お父上は金メダリストだし……。
ところで弘前城はちょうど石垣の大規模な修理作業中で、天守を移動させてあるところ。
天守って動かせるんですねぇ。いや、動かせるのは知っていたけど、実際に移動してある天守を見たのは初めて。
当日は非常に暑い日で、木陰を伝いながらの見学。
弘前城には巨木がたくさんあった。
標準和名はクロベだが、このあたりではネズコと呼ばれているようだ。某アニメ関連で人気が出そうな巨木。
このイベント、5名の方が交代で説明の中心となってくださるのだが、当然割り込みの説明も入るので、情報量が半端ない。出来れば全部メモしたかったが、そんなことしているとおそらく前に進まない ^^;
おまけに前述の通り、5名といっても職場も出身地も様々なので、いろんな角度からの説明が出てくる。接客が専門で無い職場の方も居たが、この多様性はけっこう無敵だと思う。ワタクシたちは鉄分少なめな客だったが、濃いめのお客さんが来れば、それに合った話をしていただけるのでは無いだろうか。
そうこうするうちに、突然、職員の皆さんも事前に知らなかったねぷたが現れる。ここ2年連続で中止となったねぷた祭り。職員の方々もテンションが上がったようだ。やっぱり地元の人に愛されている祭りがあるって言うのは、いいねぇ。
この暑さの中、ずっと歩き続けるわけではなく、幸い城内にも城外にもいくつか適当な施設があるので、少し歩いては冷房の効いた室内で汗を拭う、ということを繰り返せる。
カルガモのヒナもちょうど木陰になるお堀の岸辺で休憩中。お母さんは警戒に怠りないようだが……ヒナが2羽しかいないのはちょっと寂しい。
予定のコースには入ってなかったのかもしれないが、職員さんが気を利かせてか、エアコンの効いたお店に案内してくれる。城のすぐ脇にある『天然藍染 川崎染工場』というところ。ちょっと気に入った扇子があったので自分向けのお土産に購入。13年前に旅行先の香川県あたりで買った扇子をちょうど壊してしまったところだったので、ここで買う定めだったに違いない。
しかし広げた画を撮らないとは何事だ ^^;
一人被っちゃって写っていない……。
しかし、結果的にとはいえ、ワタクシたちたった二人のためにこれだけ人と時間を割いてくださって、しかも3時間以上にもわたってかなり心のこもったお付き合いをしてくださり、そして無料とは……。
「JR東日本さん、何考えてんの?」とも思うし、機会があるのならこれに参加しない手はない。絶対に、無い。と思った次第。
今回はとてもいい思い出になりました。
弘前駅職員の皆様、本当にありがとうございました。