関東地方に梅雨入りが発表された、その晩。
我々おとぼけ野鳥の会の2名はおよそ半年ぶりの三宅島訪問を決行した。だって船が欠航しないんだもん。(けっこうをかけてます(やかましい))
御蔵島と八丈島へは行かないことが早々と決まっていたようですが、ともかく三宅までは行くわけですよ。なぜか。嫌がらせでしょうかね。あるいは罰ゲーム?
揺れましたよ、そりゃ。ふわーーーって浮いて、どーーんっ!って海面を叩く音がするわけですよ。夜中に。
そして3日間、わりと雨が続きましたよ。だって梅雨ですからね。
まぁそうは言っても、ちゃんと鳥見が出来ちゃうのが三宅島のスゲーところ。
まだ写真をPCでチェックする暇も無いわけだが、デムパでスマホに渡してあった写真だけ使って、とりあえずまとめておくことにする。そうしないともう一生やらないからね。
今回も行きは橘丸。なぜ黄色いのか知らないけど、竹芝を出航するのは夜だから、色はあまり気にならない。だが日の当たるところで見ると、なんだか変だよ。
それはサテオキ、年々老化していく身体をいたわるため、今回は少しだけ奮発して特2等を押えた。

広いとは言えない通路の左右に2段ベッドが並ぶ。今回は正直、混んでいなかったので、隣も上もお向かいも空室のままだった。

マットは見えている部分よりももう少し厚く、寝心地はかなり上等だと感じた。カーテンを閉ざせばプライバシーもそれなりに守られる。周りの目もイビキも気になる上に、ゴツゴツした床の上に直に寝る、老体に厳しい2等和室の雑魚寝と比べると、3千円と少々の差額はむしろリーズナブルだと感じられる。2等和室だと有料(100円)で貸出となる毛布も標準装備。枕も2等和室のあの硬い黒い箱みたいなのとは違って、ちゃんと枕だ ^^;
照明の脇にあるネットはこの写真では跳ね上げてあるが、水平に下ろせる。眠るときに置き場に困る眼鏡を乗せるのに、ちょうどいい。照明器具には100Vのコンセントも付いているので、スマホの充電用にもネットがちょうどいいかもしれない。もっともこの客室は電波が届かないので、機内モードにして眠ったので充電も必要が無かったが。
問題の狭さだが……。失礼してきたねぇ足を写します。足だけにあしからず(やかましいわ

枕を目一杯に壁際に置いて、足元に荷物を押し込む。身長170cmのワタクシだと、ちょうど足が伸ばせ……た。という程度。実際は横向きになって腰と膝を曲げ加減で眠るので全く狭さは気にならなかったが、高身長の人には厳しいのかもしれない。そういう人はもっと高い部屋をどうぞ。高身長高収入ってか?(何が)
さて、揺られ揺られて午前3時過ぎからは深く眠ることが出来なくなったわけだが、50分ほど遅れて着いた三池港はけっこう強い風が雨をたたきつけてくれる。
野鳥の会御用達の新鼻荘には寄らず、そのままアカコッコ館に立ち寄る。

前回は息子1号が羽織ったアカコッコと再会。クチバシからチョコボールが出てきそうである。さぞかし大きなチョコボールだろう。
ここに来たからにはまず、大路池方面へ。
天気はとりあえず少し回復したように見え、鳥たちの声が降り注ぐ。特にイイジマムシクイ。どこでも鳴いている、といいたいくらいなのだが、声はしても姿が簡単に見えるわけでは無く、カメラで捉えるとなると更に難しくなる。
でもまぁ、証拠写真ですな。

どのあたりがイイジマムシクイなのかと問われると、なんとも言えない。鳴かなければ自信は無い ^^;

地元の人たちは単にヤマガラと呼ぶようだ。まぁ種名はヤマガラだからそうなんだろうけど。私ら外部の人間からすると、やはり有難味を込めてオーストンヤマガラと呼びたい。毎回そう言ってると長いから言わなくなったけど ^^;
そもそもいつものヤマガラをヤマガラと呼んでいるのも、亜種ヤマガラとして呼んでいるのか、と問われればそうではないので、やはりコイツもヤマガラと呼ぶのがノーマルかもしれない。

だからといって、タネコマドリと書いてしまいたいのはどうしようもない事実だ。見た目には違いが分からないが、留鳥で冬でもさえずっているのを聞くと、もうほとんど別の種ではないかと思いたくなる。

コゲラに至っては、なぜかコゲラと呼んでしまう。なんだろう、この差別は。自分でもよく分からない。無意識の領域だ。差別根絶の難しさはこういった所に潜んでいるのだろう。なんの話だ。
2日目はところ変って海岸からスタート。
その前に、3度目の三宅島にして、初めて訪れた椎取神社。

衝撃的な画だ。鳥居が埋まっている。奥に見える屋根は、埋まってしまったかつての本殿。2000年の噴火の際、泥流に飲み込まれ、周囲の森も立ち枯れてしまった。だが信じられない早さで森は再生しつつある。
阿古地区をはじめ、火山の爪痕がそこここに残る三宅島。アカコッコ館にあるような立体的な模型を見れば一目瞭然なのだが、三宅島には多くの噴火の痕跡が見られる。例えば三宅高校は丸い窪地の南東部を利用しているのだが、その窪地は丸ごと古い火口なのだ。
スマホのグーグルマップアプリで三宅高校を検索し、地図の種類を【地形】にするとそれが容易に分かる。ヒマな人は試して下さい ^^;
さて。海岸の鳥見だ。

こんなのとか、アマツバメとかを観察している崖で……

こんなのも見られるのが三宅島のすごいところ。鳥以外にもこうした生き物が見られるというのは嬉しい。

少しはトリミングしようかと思ったけど、こんなに遠いところでしか見ることが出来ませんでした、ということを自分でも記憶しておきたいので、ノートリで。
居るところに行けば見られるのだが、今回の風雨の強さだと写真はとても難しい。まぁもっと長いレンズと高級カメラと、そして腕があれば撮れますけどね ^^;
ただ、自分の鳥見スタイルとしては、こういう写真のほうが相応しい。そう思って自分を慰めるわけです。
それにしてもウチヤマセンニュウの声は身体の割に大きくて、すぐ近くに居ると勘違いさせられることがしばしば。実際は遠くのソングポストで長時間さえずっているので、スコープでじっくり観察すべき鳥ですな。
いや、条件が良ければもっとずっと近くで観察できるんでしょうけど ^^;

カラスバトは大まかに言ってアオバトと似た類いの、ジャングルに似合いそうな声で鳴く。声は聞こえても中々姿を見つけられないのも似ているかもしれない。まぁアオバトよりは探しやすいと思うけど。なぜなら大きいし、けっこうよく飛ぶ。飛んでいる姿は首も尾羽も長いので、他のどのハトとも似ていない。反射で複雑な色を見せるのだが、そもそも写真に撮るのが難しいので……。
唐突にラーメンを。

神着(かみつき)の方にあるラーメン屋さん、とんとんに連れて行ってもらった。なんとなく選んだこの店の名を背負ったチャーシューとんとん、見た目よりも辛い。汗っかきのヲッサンが食べるときには覚悟が必要だと喰ってみて分かった。
メニューが多くていろいろ試してみたかったが、その機会が来るとは思っていない。
2日目は本来のメインイベントである富士鷹なすびさんのお絵描き教室があったことと、昼前から本降りが続いてこのあとは雨の中のウチヤマセンニュウ探しくらいしか出来なかった。どの写真も同じようにウチヤマセンニュウの点のような写真なので割愛 ^^;
3日目も朝から雨。ダメ元で伊豆岬まで行ったが、ダメ元でしかなかった ^^;
阿古の方に戻ると雨は小降りになり、虹も見えた。だがウチヤマセンニュウはやっぱり遠い。もうそういう運命と受入れるしかない。

大路池に戻り、薄暗い中のさえずりのシャワーを浴びる。時折雨も浴びる。
大型ツグミらしい獲物を咥えている。

幼鳥でもやはり足が長い。羨ましい。なぜコマドリに生まれなかったのか。
だがジメジメしたところで虫ばかり喰わされることを思うと……短い足も愛おしく思えてくるから不思議だ。
コマドリになんかなりたくない。

せっかく近かったのに手前に小枝でも被っていたのか、ボケてしまった。
イイジマムシクイの名の由来となっている飯島先生は研究のためにサナダムシを飲んじゃうような人なので、やっぱりなりたくない。いや、そもそもイイジマムシクイになりたいなんて思ったことも無い。
さて、3日目もあっという間に昼を過ぎ、帰る時間になる。
NさんSさん、今回も色々と、本当にお世話になりました。
ここで書いても届きようも無いでしょうが、アカコッコ館の繁栄を遠く東京の端っこから、別の東京の端の方に向けて祈っています。
帰りの船はさるびあ丸だったので、2等の座席の方を予約しておいた。
プカプカ顔を出すウミガメを横目で見ながら錆ヶ浜の港に入って来るさるびあ丸を見ると、やはり客船は白い方がしっくりくると感じる。で、橘丸はなんで黄色いの?

どうせ昼間だから眠らないので2等で十分。もしかすると海鳥が出るかもしれない……、などと言っても冬ではないから前回のようにクロアシアホウとかコアホウとかも期待できない。そして結局のところ、帰りも海は時化ていた。
というわけで、ほとんど座席で過ごした。2等座席はそんじょそこらの電車よりもゆったり座れる。思いっきりリクライニングしてオットマンも使えば、気持ちよく居眠りできる。JRの普通車グリーン席よりも更にゆったり、という感じか。ただし船体は揺れるけどね ^^;
それにしてもよく雨が降った。三宅の年間雨量は3000mm弱と、都内のおよそ2倍にもなる。だからこそ豊かな自然が保たれているわけで、降っている三宅こそが、本当の三宅なのかもしれない。
本当の三宅に行けて、良かった。