粥村で聞いた話

鳥を見たり見なかったり食べちゃったり

人魚姫裁判

調布市内、仙川にせんがわ劇場というところがあります。

かみさんがそこで上演される演劇の情報を見つけてきました。

人魚姫裁判

かみさんは童話好きで、楽しい絵本も好きですがこういう昔のバッドエンドな物語も好きなようです。某ネズミ系のなんでも楽しくしちゃう姿勢には夫婦揃ってある種の疑問を持っています。ネズミーランド自体は嫌いではないんですが。

サテオキ、この演劇は素人さんを募集して、プロの演出家さんが演出と脚本を手がけたというもので、かみさんは演者募集の時から知っていて、ワタクシにも応募してみないかと確かめたそうですが、良く覚えていません ^^;

しかし実際に見てみた結果、こういうのを経験してみるのもいいなぁ、と感じたことは確か。

せんがわ劇場にて

以下、ざっくり感想。

思った以上に原作に忠実。裁判を舞台にした肝の部分を除けば。

被告人は既に死んでしまっている人魚姫ではなく彼女の姉で、罪状は殺人教唆の疑い、というのはナイスな設定。

そして論点に、人間と人魚という相容れない種族がお互いに持つ『差別意識』を持ってきていて、多様性の許容がそもそも人にとって難しい、というところにフォーカスしたところが、現代劇になっていて良かった。その意識をあぶり出すために、調布市内で一般人に街頭インタビューしているニュース映像みたいなモノをインサートしてきたのも上手いと思った。

特に人間が人魚を差別している、という観点は誰にでも容易に受け容れられるところだと思うが、逆に人魚も人間を差別しているのでは無いか、としたところがいい。絶対的な価値観など存在しない、ということで。

 

劇中、人魚姫の殺人未遂と姉の殺人教唆の2件について触れられているが、これについては結論を出さずに終わった。

たしかにこれは、観た者がそれぞれに考えてもいい話だと思う。劇中の裁判も裁判員制度で、裁判員の間でも意見が分かれていたし。あのシーンも、「裁判員に選ばれたらアナタもこういう困難な選択を迫られるんですよ?」という現実を示唆していて胸に迫る物があった。

 

というわけで、実際に裁判員候補に選ばれて、仕事を休んで裁判所まで出向き、最後の抽選で選から漏れた事があるワタクシの判断。

 

人魚姫は無罪。推定無罪

姉は有罪。自供もしちゃったし。ただし、妹を救うためには他に手段が無かったことで、情状酌量の余地あり。求刑の懲役10年に対し、懲役4年、執行猶予5年とする。

 

なんの法的な知識もありません ^^;