先日の王位戦第3局、有馬温泉の中の坊瑞苑でのおやつの時間。藤井棋聖がオーダーしたパイナップルジュース(たぶん)に添えられたストローに書かれた文字が目にとまった。
HAGIHARA COFFEE
たしかにそう書いてあった。
聞いたことがない。検索してみると、神戸界隈でしか飲めないようだ。しかし、豆はあちこちに卸しているらしい。近場でどこか、行けそうなところは……。
そんなきっかけで訪れてみたのが、桜乃というお店だ。
外観は今どきストリートビューで確認できるからいいか(ちゃんと撮れてない)。
内装でもっとも気になるのはこちら。
ホットコーヒーを頼むときは、好きなカップを選べる。ご指名が可能、というわけですな。
ご主人はコロナ対策でマスクにフェイスシールドを着用されて大変なはずなのに、とても温かく迎えて下さった。接客のプロの一面が、ありありと見えた。
カフェラテ系のチェーン店全盛の現代で、まるで昭和に戻れるようなこの雰囲気はとても貴重。もちろん、いいのは雰囲気だけでは無い。
酸味系が好きなワタクシとしては、まずグァテマラを試してみた。想像通りの落ち着いた味わい。間違いが無いコーヒーだ。
ちなみに選んでみたカップはナルミだった。
何が白バージョン(正式な呼称ではありませぬ)なのかというと、見ての通り、氷が白いのである。この白い氷の正体は、ミルク。ご主人曰く、
「氷が溶けるにつれて薄くなってしまうのはどうかと。ミルクを凍らせて使えば、溶けてもミルクが強まっていく、別の楽しみがあるし、コーヒーを凍らせて使えば、逆にだんだんコーヒーが強くなっていく。そもそも普通の氷だと実際にはコーヒーの量が少なくて済むので、うちのは量が多いって言うことですよ」
と。確かに。
かみさんは3品のスイーツセットをオーダー。
なんで斜めに撮っているのやら……。
これ、ほっかほかでなかなか美味しい。
そして、チョコレートケーキと生チョコは美味しくて写真を撮るのを忘れ、その反省で次の氷菓子を。
イチゴ味もバナナジュース味もドンピシャのワタクシ好みの味。これは外せない。
かみさんが飲んでいるのがとても美味しそうだったので、コーヒーのおかわりは冷たいカフェオレにしてみた。そして氷は黒の方をお願いした。
うっすらと甘みが最初から入っている。本来だとそういうのが好きでは無いのだが、このお店のカフェオレは絶妙な甘みのバランスで、まったくイヤな気がしなかった。これは珍しい。
終始、和やかに、それでも時々鋭いお話で楽しませて下さったご主人の人柄、好みの隠れ処感もある店の雰囲気、そしてコーヒーの確かな味とオリジナリティ溢れるスイーツ。そもそもの動機が観る将というかなり不純なものだったが、見つけたお店は大正解、という幸せな日でした。